君が22歳になるまで聴けるようにと贈られたプレイリストの賞味期限超過が、もうじき2年になる。
美しい言葉が好きだった。言葉はわたしの生きる糧であり、生きた証だった。この脳内から液晶に紡がれる機械的な字列に、どれだけの愛と色と神秘を忍ばせるか、そういうのが好きだった。たまに食べるクロワッサンみたいに、とてつもなく美味しくて、甘くて、好きだった。
あの頃。
現実に生きれば生きるほど、反動みたいに全て冴え渡って、わたしの世界の色が濃かった。
現実なんて、手に負えないと匙を投げた途端に、反対側の世界が崩壊した。
必要悪ってこういうことなんだって、今今おもう。
どうにかして、あのときの、あの、愛しくてたまらない感情たちを取り戻そうとして、こうやって文字を打ち込んでいるけれど、こんなものはすでに自分の世界に生き残れなかった没落者であるのを認めるみたいな、愚かな行動でしかなくて。
わたしを帰してほしい。
でなきゃわたしを、返してほしい。
あまいよるに、ぬるい風に抱かれて吸うハイライトメンソールと、しょっぱい朝に中指を立てながら飲むインスタントコーヒーと、世界。
あなたっていつも、「さようなら」って言ってるみたいだわ。
穏やかな夜を。
愛を込めて。