別れた。
円光/銀杏BOYZ
心底嫌いだと思わない限り誰にでも情は沸く。こんなちっぽけな1ヶ月間のこと、わたしにとっては取るに足らず、LINEでポチッと削除で済む話だった。
人としての建前と、会いたいと懇願する彼への情で、勝手にマンションまで来た昨日までの恋人に会った。まあ、それで終わるならいいと思った。
結局1時間ほどブランコを漕ぎ、
「付き合うのがダメなら籍を入れよう」とか、
「お前が無理といっても俺も無理」とか、
「お前が好きなんだよ」とか。
そういう、無意味な言葉を聞き流した。
深夜2時の近所迷惑も顧みず、どこまでもついてくる男についてくるなと散々喚いた。
「ごめん」
これが最後に聞いた言葉。
悉く身に沁みるのは、もしかしたらわたしも、ある男にとっては彼と同じ存在だったかもしれないということ。
好意のない人から向けられる好意、親切、愛はぶっちゃけこっちからしたらただの空き缶で、出来ることなら早く缶収集の日になれなんて思うのがオチ。
わたしもきっと、それなりに空き缶を放り投げてきた。
中野のアーケードで暮らすおじさんや、高円寺でひとり歌うバンドマンや、経堂で電気代が払えないでくすぶっているニートが、そこら中の空き缶をかき集めてまるっと抱きしめて、
あー本当はそういう世界がいい。